ウルスン:Ursun

ウルスンは熊の神であり、 Father of Bears(熊の父)とも呼ばれている。
彼の崇拝が最初に紹介されたのは、ゴスポダールだが、熊はキスレヴァイトの生活に重要な役割を占めている。
クマは昔から今日に至るまで社会に欠かせない存在であり、その熊信仰はキスレヴァイト文化と切り離せないものだ。
ウルスンへの信仰は帝国におけるシグマーの崇拝がそうであるように、キスレヴの国教ではないが、ウルスンは多くの人の心の中で、運命と結びついているため、信心深い人々のクマへの好意からこの信仰は、自然に人々に吸収された。

ウルスンは通常、巨大な茶色の洞窟熊として描かれており、金の冠をかぶっていることもあれば、金色の爪や牙があることから、獣の王であるウルスンではあるが、富の象徴として描かれることもある。
また、ウルスンは灰色の髪に腰巻きと槍を持った筋骨隆々の野生的な大男として描かれることもある。
野生の神であるウルスンは神殿には祀られておらず、屋外の祠や使われなくなった熊の洞窟で主に祀られている。
都市部では、大岩の裂け目などに祠を作り、その周囲を松林や低木で覆い、公園のように人々の憩いの場として機能している。
キスレヴのボカール宮殿近くの公園は最も大きなウルスンの祠だ。

戒律

・冬に眠っている熊を狩ってはならない。
・冬の休息の前には、十分に餌をやり、春になったら熊を起してやれ。
・熊は自分の手で仕留めるべし。
・自分が狩った熊なら、毛皮・爪・牙・頭蓋骨のみを身に付けることができる。
・可能な限り、室内での快適な生活は避けること。特に排泄と入浴は屋外で行なうこと。
・熊に倣って肉ばかりではなく、週に一度は魚も食べること。

シンボル

熊の描写以外にも、ウルスンは熊の爪でも表される。
敬虔な信者は金メッキ加工を施した爪を首から下げている。
また、熊の毛皮を被ったり、ブーツの替わりに熊の足を履いたり(この場合爪がある場合に限る)、兜やベルトに熊の頭蓋骨をあしらったりするが、装飾に使用する熊は必ず、自分で狩った熊でなければならない。
こうした熊の装飾品は見た目はグロテスクだが、熊の神を讃える意味で公式の場でも正装として使用できるばかりでなく、長く厳しい冬の間、人々を暖かく包むのだ。

信仰されている地域

ウルスンは野生的な性格にも関わらず、都会でも人気がある。
ウルスン教団の大司教でもあり、最初の主張者でもあるツァール・ボリスは、400年以上前の歴史の中で、その称号を得たのだ。
大戦時には混沌に対抗したウルスンの教団は風のように散っていった。
多くの都市と町は荒廃し、中央の信仰は消滅したかに思えたが、熊神はまだ崇拝されていた。
ツァール・ボリスが大熊ウルスキンとの出会いがあったからこそ、ウルスンに選ばれたツァールは、神の名を自分のものとし、キスレヴの信仰を取り戻したのだ。
一方で、娘のカタリンは大司教として活躍はしなかったが、父の信仰に従順であることには変わりなく、カタリンは大司教の娘として人々の注目を集めることで、ウルスン崇拝は今日でも盛んに行なわれている。

ウルスンはキスレヴ全域で崇拝されており、都市に住むドルジナや裕福な人々によって、街中の祠と森は維持され、都会の喧騒を感じさせないように配慮されている。
一方で、熊と近しい生活をする郊外の人々は、今日も森の仕事で熊の餌にならずに済んだことをウルスンに感謝する。
北の地で熊は、絶え間ない脅威であり、そしてすべての人が自分の命を背負っていることを自覚している。
ウルスンの寛容さは、彼自身の運の強さと同じだといえるのだ。

性格

熊の父は獰猛で家父長的な人物だ。
彼は不屈の精神で厳しく寛容な神ではないが、要求を聞くだけの寛容さはある。
信者である男たちは、熊の神ウルスンに祈り、彼の子供たち(小熊)の狩猟をする許可を願う。
過酷な条件の下での生活をしているからこそ、それは人類にとって権利ではなく神に許された特権であると認識している。

ウルスンのお気に入りは、熊の力と勇気を発揮する者たちで、祠で熱心に祈っている僧侶よりも猛烈に戦う戦士の方を好む。
その一方で、ウルスンは飄々としているが、無感情ではないため、信者や庶民、僧侶は、家のドアに魚を釘付けにしてウルスンの気を引く。
スタニッツァにはその年の熊狩りが成功していないということから、祝福ではなく、罰を受けることもある。
野生の神の怒りは残忍で、大熊が街に突っ込んできて、卑怯な違反者の手足を引き千切り、身体を引き裂くかもしれない。
ウルスンは野生的な神であり、その正義はウルスン独自の基準で判断されるため、一貫性のない理不尽な場合もある。

言葉よりも行為という面で、ウルスンはウルリックに似ている。
双方はライバル関係にあり、それぞれ自分たちの神が最強であると信じている。
祭りの際にはレスリングや狩猟競技などで、どちらが上か争い、酒が入ることでより熱を増すが、どんなに悪化しても酒場の乱闘騒ぎよりも深刻な争いに発展することはほとんどない。

人間に対して無関心という意味では、タールに似た側面も持つ。
ウルスンの信者は「動物界で最強である熊さえ信仰していればよいのに」とタール信者を不思議に思う一方で、タールの信者は「なぜウルスナイト(ウルスン信者)は、熊しか選ばないのか」と不思議に思っている。
キスレヴの西方では、ウルスン信者とタール信者が混じりあい、共存している。

教団機構

カルト・オブ・ウルスンは強力だが、帝国の神々の神殿のように組織化されていない。
各町や村のコミュニティにあるウルスンの信奉者の中には一人の司祭長がいる。
司祭長は熊と話す者と呼ばれ、ウルスン信者の中で最も強い者、または最も大きい者が任命される。
司祭長は村や仲間のウルスン信者に熊の神が何を望むかを知ってもらうために、狩りの指揮を執り、掟を破る者を罰し、監督する。
入信を希望する者は、司祭となるために弓とナイフだけで一人で荒野へと赴き、飼い慣らされた熊を持ち帰る。――自然の中で熊を調教するか、小熊を育てるかとなるため、入信を希望する者が司祭長の元へ帰るまでに何年もかかるのだ。

司祭長は一旦任命されると死ぬまでその役割を続けなければならない。
“熊は寝ても死なない”という格言から、司祭長の後任は、残された司祭たちの中から、最強の戦士を選ぶ。
ウルスンは時折、偉大な高僧を選ぶことで知られており、キスレヴ全ての司祭長であるボリス・ウルスンの前の大司祭は、ウルスンによってビジョンを見て、彼の声となるように次の話をした。
「全地の運命と行く末のため、司祭長は子宝に恵まれた。しかるべき人物には熊の形をしたアザがあり、ハグリム熊兄弟は雪の中で迷子になっていたところマザーベアに助けられ、翌年の春マザーベアが幼子の世話をしていたところを発見された」
このツァール・ボカールを選ぶ物語は広く知られている。
大司祭が死の間際にビジョンを見て、その称号が引き継がれる人物を指名するが、ウルスンが必要とするまで、その地位は空席となる。

混沌の嵐が吹き荒れた際にツァーリ・ボリスの早死にによってウルスンは彼の信者を見捨てたと思われた。
嵐はまた吹き返すだろう。
しかし、人々は次の大司祭の前兆を逃すまいと限られた時間の中で、信じることをやめてはいない。

 







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