薬剤師見習い Apoyhecare’s Apprentice

砂埃の舞うテントの中は、常に苦痛に呻く負傷兵の声がしている。
そんな戦場の救護テントの中でも「薬剤師見習いのハリング」がいるテントは、とりわけ深刻な傷を負った負傷兵が運ばれてくる。
今朝も、帝国民兵隊とオークの群れとの激しい衝突の際に、脇腹にオークチョッパによる一撃を食らった民兵の一人が、飛び出す腸を抑えながら担架で担がれてきた。
「グワーッ、痛ぇよぉ、なぁ、助けてくれ! 俺は助かるんだろ? 」
見習いのハリングでも、もう彼には手の施しようがないことぐらいは分かる。
「ここに運ばれたあんたは運がいい。モールがあんたにkissするまでの苦痛は取り除いてやれるからな」
ハリングは薬包紙の中の粉末をワインに溶かして、負傷兵に飲ませてやる。
しばらくして負傷兵は落ち着きを取り戻して、「親父はもう年だから、今年の収穫は俺がいないと、どうにもならないんだ……でも、ありがとよ」
ハリングは彼が目を閉じたのを確認して「その心配はないさ、収穫する畑も、もうじき無くなっちまうからな……」と、呟くと荷物をまとめ始める。

遠くの方からは、地響きのような音と獣じみた怒号が迫って来ていた。

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コメント

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