2017-12

エンパイアは創設当初の部族社会から2500年を経て大きく変わったが、少しも代わらない部分もある。 小作農は大地の一部分を耕地にしたが、エンパイアの広大な領域は森に覆われたままで、農地化を拒んでいる。 そんな森は狩人や罠猟師の天国だ。 彼らは...

似非魔術師は、魔術の素質はあるものの正式な訓練を受けていない人々である。 彼らは天分や幸運、迷信の威を借りたペテンなどにより、得意分野のちょっとした呪文を披露する。 そうしたまじないやいたずらをするたびに、似非魔術師たちは危険と戯れることに...

墓荒らしは、死体を掻き分けて生活の糧を得る。 医学や魔法を生業とする者はつねに新鮮な死体を必要とする。 研究目的の需要もあるが、より忌まわしい目的もある。 新鮮な死体を公式に入手することは非常に困難であるため、医者や魔術師ももっぱら墓荒らし...

博徒は下層階級や中産階級の厳しい労働を好まない。 月の収入が一回のうまいプレイで賄えるというのに、そのような少ない報酬のためにどうして骨を折る必要があるのか? 博徒は運試しゲームで技量を用いて、金持ちや間抜けから金を巻き上げる。 彼らは馬車...

ヤルルが従士や忠実な小作農に与える最大の報酬のひとつは土地である。 不動産を手に入れたこれらの男女は特別な地位を与えられる。 戦士ではなかった者たちの場合従士と同等の地位を得る。 かつて戦士であった者たちの場合、その土地は通常長期の価値ある...

漁師は海の恵みを追い求める。 ノーランドの海岸線に散在する村々の多くに、大勢の漁師たちが暮らしている。 元気に溢れた彼らは、勇敢にも小船で鉤爪湾に漕ぎいでる。 海賊やノーシャの襲撃者たちが引きも切らない海だというのに。 また内陸にも、湖や川...

オールドワールドの猥雑な都市に深みのある声が響きわたる。口が悪いうえに猥歌をがなる現場監督官が、汗みずくの男衆に指示を飛ばしているのだ。 騒がしい波止場で現場監督官の甲高いホイッスルはの音は、失業者を煙たい空気のこもった行きつけの酒場から駆...

よそ者の目には、ムートは安全で恵まれた土地のように映る。 それがある程度正しいのは、野辺巡視員たちのおかげなのだ。 この名で呼ばれるハーフリングの巡回者たちが、ムートの境界を見て回り、脅威や招かれざる外来者をよせつけないからだ。 彼らは熟達...

大小さまざまな河川がエンパイア領を縦横無尽に縫っている。 たやすく徒歩で渡れるほど浅い川もあるが、ほとんどの川を安全に渡るには、輸送手段が必要だ。 渡し守はエンパイア中の河川にいて、人々や荷物を、もちろん有料で川向こうに渡すことで生計を立て...

エスタリア王国連合は、エンパイアの南西に位置する。 混沌(ケイオス)の脅威といわれても実感のわかない土地柄だ。 混沌の荒れ野から遥かに遠く、陽光に恵まれたこの国は、エンパイアやキスレヴのごとく地に飢えた軍勢の憤怒に呑まれたためしがない。 代...