大きな街になればなるほど、貴族や大商人たちの屋敷が集まる高級住宅街ってやつがある。
完全に区画が区切られているので、俺たちにとっては仕事がやり難い。
そこで狙うのは、小さな町の領主の屋敷だ。
町の領主が主催するパーティーの日は、この上ないチャンスだ。
こんな日は召使いや執事たちもパーティの仕事で気を取られて、領主の私室や寝室はノーマークだからだ。
庭で盛大にパーティーをしている隙に、大泥棒ファブリ様はバールで軽く窓をこじ開けて、華麗に侵入するのさ。
…なんだここは?
片手が蟹のハサミで、乳房が8つもあり、太ももから下が山羊みたいな蹄のついた脚の女の裸体像が祭壇に飾られている。
壁には、卑猥の極みのような絵画も飾られていて、悪趣味であることこの上ない。
祭壇は無数の宝石で飾られている。
小さな町の領主のくせにずいぶん羽振りが良さそうだ。
これだけ宝石があれば悪趣味な像や絵画は、置いていってもいいだろう。どうせ高くは売れないさ。
宝石を袋に詰めて、部屋を出ようとしたとき、パーティー会場の方から悲鳴や銃声が聞こえた。
「ふん、スラーネッシュなんぞに傾倒するからこんな目にあうのさ」と独り言を吐き捨てて、魔狩人に襲撃された領主の屋敷を後にする。
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[…] 空き巣狙い […]