ブレトニア:Bretonnia
エンパイアにとって最も身近な国のひとつでありながら、シグマーの影響は薄い。
旅行者がまっさきに浴びせられるのは、ニンニクやカエル、タマネギの強烈な臭いと、それに重なる小作農たちのひどい体臭、そして油の引かれた金属のツンとくる臭気だ。
田舎びた単純なやり方をつづけるブレトニア人たちは、エンパイア人から見れば古臭い連中のように思われるかもしれないが、彼らの反動的な生き様を嘲るのは、くれぐれも遠くからにしておいた方がよい。
君の厚かましさに腹を立てたブレトニア人たちに、槍で突かれるに決まっているからだ。
しかし、それはこの国の貴族や騎士に限った話で、小作農たちが相手なら旅行者は気の向くままに楽しめばよい。
ブレ卜ニアの周縁に位置するロウレンの森には、オールド・ワールドでも最大のウッド・エルフの共同体がある。
未開で得体の知れないこの森は、憤懣を抱えた樹木の精に満ちているだけではなく、当然ながらエルフたちが侵入者を射止めようと目を光らせてもいる。
それほどエルフの守りが固いということは、森の奥深くに価値ある何かが隠されているに違いないと言う者も多い。
アルビオン:Albion
ブレ卜ニア北西岸沖のどこかにあるアルビオンは、霧につつまれた寒々しい小島で、ひどい天候と原住ジャイアン卜の多さで有名である。
太古の財宝が眠る島として知られており、数多くの命知らずたちがこの島への渡航をくわだて、結果的に霧に包まれた島の内陸に姿を消してきた。
この島にある“鉛砦”は、ねじ曲がった尖塔と歪んだ門を有する過度に装飾的で奇妙な建造物である。
噂によれば、これは世界の曙のころ、神々がみずから強力なディーモンたちを押し込めた監獄なのだという。
尊大海:The Great Ocean
ブレトニア沖に広がる尊大海は、その途方もない大きさへの想像力の働きによって名づけられた。
判明している限りでは世界最大の海洋であり、風の吹きつける荒海をあらゆる国々や種族の船が行きかう。
海賊や奴隸商人、笑い話では済まないほどの船酔いに始終悩まされることももちろん、より原始的で邪悪な敵である海生モンスターも存在する。
尊大海の深い海には財宝を積んだティリアの船が沈んでいるだけではなく、ゴムのような触手をゆらめかした奇怪な大海蛇も潜んでおり、あらゆる船舶への軽蔑や悪意をみなぎらせている。
気難しい老練な船乗りたちが言うには、尊大海の暗い海流の下にはまるまるひとつの王国が隠されているそうだ。
そんな突拍子もない空想はおよそ信じがたいものだが、かといって反証することもまた難しいのだ。
尊大海の伝説に語られるのが、「骨の島」である。
とほうもなく巨大なクラーケンの死骸が腐ったものと言われるこの島には、「紅の海賊団」が好き好んでやってくる。
この島を、不正に入手した財宝の隠し場所にしているのだ。
そしてこの島は、見つけづらいことで悪名高い。
海流につれて島がゆっくりと漂っているからで、海や天候について深い知識を有する者のみが、島の漂流コースを把握できるのだという。
ウルサーン:Ulthuan
尊大海の北のどこかにあるウルサーンは、魔法の島嶼王国にして、ハイ・エルフの根拠地である。
エルフたちは人目を避けることにたいへん重きを置いているため、彼らの国は強力な幻影に守られており、小島がたびたび位置を変え、海岸は絶えず渦を巻く霧に隠されている。
そのため、ウルサーンのことが知りたいのなら、エルフに聞かねばならない。
エルフの国が実際にどんなところかをはっきりと知る者はないが、数千もの尊大なエルフが暮らしているため、たぶん、近寄らないほうが身のためだろう。
ニュー・ワールド:The New World
尊大海をおし渡り、霧につつまれたウルサーンをこえてさらに進めば、その先にはニュー・ワールドが、山なす期待や黄金、女たちとともに待ち受けているというのは、酒場の話が信じられるのなら真実なのだろう。
しかしながら、真実とは獣性のひとつのあらわれに過ぎないのであり、この地へとやってきた者は、ラス卜リアの緑濃い地獄か、ナーガロスの寒さ厳しい荒地かを選び取らねばならない。
ラストリア:Lustria
ラス卜リアは、ニュー・ワールドを構成する南側の大陸であり、密林をなすジャングルや、雲をつく峰、褐色の太い帯のような河川を擁する広大な土地である。
サウスランドの種とは異なる人型蜥蜴がこの地に生息しているが、数においても種類においてもかの地をはるかに上回っている。
近年では数百もの探検隊がこの地の財宝を略奪することを夢見て危険な尊大海をわたってきている。
旅人たちがしつこく忠告されるのは、オールド・ワールド人にとってここラス卜リアが驚きに満ちた魅惑の地である反面、疫病や敵意に満ちた現地人はもちろん、黄金に目が眩んでジャングルをさ迷い歩く人殺したちによる危険も少なくはないということだ。
ラス卜リアには、アンデッドの巣窟と化した“吸血鬼海岸”がある。
強力な吸血鬼王がこの海岸を支配していると噂される。
吸血鬼王がアンデッド海軍を結集して海をわたり、オールド・ワールド人たちに復讐を計画しているという噂もある。
ナーガロス:Naggaroth
ナーガロスはダーク・エルフの支配地であり、ニュー・ワールド北側の大陸の大部分を占める。
ここへやってくる異国の民は、ほとんどの場合奴隸である。
もしも彼らが、首かせをされた首をほんのひと時でも上げ、棘つきの鞭の痛みに耐えることができたなら、岩山や黒い森、水混じりの急流からなる景色のなかに、ダーク・エルフの都市国家の黒い塔が聳え立つさまを見てとることができるだろう。
ダーク・エルフの土地から人間が生還することはまずないため、断片的な証言をつなぎ合わせて考えるしかないのだが、高い壁に囲われた都市で、残酷なダーク・エルフの支配者や、生贄の血の風呂で湯浴みする狂気の女司祭らの興趣のために戦い合うことを強いられる奴隸たちが体験する恐怖たるや、まさしく想像を絶する。
大陸の地下には、洞窟や通路が蜂の巣のように縦横に走っている。
そこに何が隠れ住んでいるのかを明言できる者はいないが、この地下空間をダーク・エルフたちが何らかの極悪な目的のために守護していると言えば、後は推して知るべしだろう。
コメント
こんちにちは。ウォーハンマーFBに関する。記事はどれも参考に見させていただいております。
もしよろしければ、エンパイアやエルフなどの種族設定の記事も書いていただければ幸いです。お願い致します。
リクエストありがとうございます。
ハイ・エルフ、森エルフ、ダーク・エルフなど種族のさらに細分化した特長に分けた記事をいずれは書かないといけないと思っていました。
なにぶん、不定期で更新しておりますので、長い目で見ながらご期待下さい。
ご検討ありがとうございます。ウォーハンマーシリーズは特に情報が少なめなのでこういった情報をまとめていただけるサイトは貴重で助かります。
かつてはゲームズワークショップも無料でアーミーブックなどのPDFを配布していましたが、今ではDLおろかインターネットアーカイブにも残っていなくてFBの世界観を知るのに結構苦労しました。
気長にお待ちしておりますので、無理なさらずに更新を頑張ってくださいませ。