信仰の中心地:マリエンブルグ
教団の首長:カミーユ・ドフィーナ女総主教
主な祝祭日:芽吹き(春分)、生育の終わり(秋分)
著名な聖典:『海と人とに』、『信天翁の物語』、『マナン大全』
一般的なシンボル
・波と波紋
・信天翁(あほうどり)
・五つの尖角のある王冠
戒律
気まぐれなマナン神のように戒律も聖職者によって、また、時と場所によってコロコロと移り変わる。
下記の戒律は教団で認められている主な戒律であるが、教団に入る際にPCは1d10個の戒律を選択する。
もし、PCが「神の天罰」を受けた場合、天罰ロールの結果に従うとともに1d10個の戒律を変更しなければならない。(最初の戒律が3個で天罰により戒律の変更が起きて出目が5だった場合、既存の3個を変更し、2個を新たに追加する。)
なお、変更や追加があった戒律の条件を満たし終えるまで、「神の天罰」の影響は続く。
・船長に従え。
・信天翁(あほうどり)を殺してはならぬ。
・船上や寺院の中で口笛を吹いてはならぬ。
・船での口笛はそっと吹け。さもなくば確実に強い向かい風が吹くからだ。
・月の第13日に船出をしてはならぬ。
・海上で爪や髪の毛を切ってはならぬ。そんなものはマナンへの供物にならないからだ。
・ひとたび出航したなら決して港を振り返ってはならぬ。
・船に石を投げることも、海に石を投じることもまかりならん。
・海上で「沈んだ」という言葉を口にしてはならぬ。
・船から落ちたら、マナンに金貨を捧げれば、命は助けてもらえる。
・船の甲板に注がれたワインは幸運をもたらし、船の外に注がれたワインは不幸をもたらす。
・毎日、最初に捕れた魚はマナンへの供物として海に返さねばならぬ。
・船に猫が乗り込むと幸運がもたらされる。
・船に猫が乗り込むと不運がもたらされる。
・船に女が乗り込むと不運がもたらされる。
・船に裸の女が乗っていると海は鎮まる(だから船の船首像は大抵、裸の女なのだ)。
・マストの下に置かれた銀貨は幸運をもたらす。
・銀貨を海に投げ入れることは死をもたらす。
・金貨が海に投じられることをマナンはお気に召す。
・船のマストから一頭の山羊を吊るすことで航海の安全が確保される。
・船のマストから一頭のビーストマンを吊るすことで航海の安全が確保される。
・”鮫神”ストロムフェルズを信仰する者を許してはならぬ(この戒律はあらゆるマナン信者が選択していて、他の戒律の組み合わせに関わり無く、遵守している)。
教団概要
気まぐれで怒りっぽいマナン神は海の神で、鉤爪湾周辺の都市などでマナン信仰が盛んである。
マナン教は海事に的を絞った教団で、航海士、水先案内人、など船乗りたちが信者である。船にマナン司祭が乗り合わせることはたいへんな幸運で、この地域ではマナン司祭は歓迎される。
教団員はマナンを愛するというより、なだめ、怒りを鎮めるために祈る。水上ではマナンの怒りがいつ起こるかわからないため、たとえ小さな渡し舟に乗るだけでもマナンに祈るのだ。マナンの怒りは自身のみならず、周囲の人々を巻き添えにする恐れもあるため、司祭たちはそうならないように祈り、崇めるのだ。
マナンの聖職者は小さな小船から巨大な貿易船まで全ての船に祝福の儀式を捧げるため、大商人や政治家との結びつきが強く、エンパイアの沿岸沿いにはマナンの立派な祠や聖堂、神殿が点々と設けられている。こういった施設には大抵、一名の司祭か入信者が管理にあたり、天候予測や波の状態などの儀式をしてアドバイスを与えている。
しかし、大抵のマナン司祭は船の上で生活する。マナン司祭が乗船することは安全な航海をするにあたってたいへん縁起がいいため、気前のよい報酬で船上に迎え入れられる。
マナン教団はオールド・ワールドの運輸と通商に不可欠な役割を果たしており、海洋の管理者として富を独占していると他教団をはじめ口々に噂されるが、船を利用する者はマナンの怒りを恐れて誰でもが「十分の一税」を要求されるがままに支払う。
マナン教は海に面した地域とエンパイアの大きな河の流域で存在感があり、マリエンブルグでは女総主教と大神殿の政治的発言力は相当なものである。しかし、海洋や大河にめんしていない、船による運輸が必要ない地域ではほとんど影響力がないため、マイナーな宗派であることは避けられない。マナン教にとっては、メジャーかマイナーかは関係ない。十分の一税がしっかりと取れる環境で支持さえあればいいのだから。
教条
水上で信奉者の命運は常にマナンの意志の下あるため、気まぐれでいつ怒り出すか予測がつかないマナンの機嫌をとるのが司祭の役目である。マナンり司祭はいつも、無意味な儀式や観測、自傷行為を繰り返すことで、マナン神の機嫌をなだめている。
そのため、マナンの信奉者は迷信深く、水上ではそれに拍車がかかる。普段は理性的な信者だが、船上では軽微な罪を犯した者に血を流すことを声高に迫ったり、自身の身体を「九尾の猫鞭」で打ったり、マストや船首から自身の身体を吊るしてみたり、海に飛び込んだりとその方法は様々だが、きわめて重大な罪を償うために「船底くぐり」が行われることもある。
“船底くぐり”とは、マナンに対してなされた最悪の罪に対する厳格な刑罰ないしは、自発的な償いである。
罪人や悔悟者は船底の下を通したロープの反対側に結ばれ、海に投げ込まれる。
軽い罪の場合、左舷から竜骨の下をくぐり右舷に上がるが、重大な罪の場合は、船首から船尾まで竜骨に沿ってくぐらせられる。船底にびっしりと張り付いたフジツボで服や皮膚がズタズタななるだけならまだ良いが、溺れたり、失血死したり、鮫の餌食になったりと距離の長短に関わらず、死の危険ととなり合わせの危険な行為なのである。
入信
マナンに入信するにはまず、導師となってくれる人物を見つける必要がある。
その導師の下で荷役人足、水先案内人、漁師、船乗りと海や河川に関わり深い仕事をこなし認めてもらう。
そして、司祭になれると判断された場合は、最終試験として、嵐の中銅製のマナンの王冠を着け、マストに括られる。
マナンに冠を着けるに値しないと判断された入信者はまばゆい怒りの閃光に撃たれ、失格する。
嵐が来ない場合は、船首像代わりに舳先に結び付けられる。
多くの入信者がこの最終試験で死亡する。もし運よく生き残ったとしてもこのひどい仕打ちにマナン教への熱が完全に冷め、この道に見切りをつけて海とこの気まぐれな神に永遠に背を向けるのだ。
教団員
マナン教団員の典型は白髪交じりの元船乗りや元海兵だが、海賊が改心して教団に加わることもある。大抵の場合、海や河川に馴染みのある者達だが、”陸者”(おかもの)もゼロではない。
教団員は日常は漁をしたり、漁具を結わえたり、河川を行き来したりして過ごしている合間にマナンを讃え、崇めている。そういった形で生活を軸にしているため、教団員の服装は平服だが、祝祭日や祈りの時間には青緑や青灰色のローブを着る。そのローブに青と白の波の模様が刺繍されていたり、波紋や信天翁の護符がつけられていたり、五つの尖角のついた冠をつけていたりする。
教団員は海の男らしく身体中に刺青やピアスをしている。高位の司祭ともなれば頭から爪先まで刺青だらけである。また、船の揺れに動じない強靭な足腰とラム酒を流し込むための鉄の胃袋を兼ね備えている。
主な組織
信天翁修道会
女総主教直轄の団体で、航海士や水先案内人を兼任する司祭からなる。
積荷の重さ、価値、目的地や航海の長さに応じた十分の一の税の見返りに航海の安全を担保する司祭を派遣する。派遣される司祭は単なる航海士に留まらず信仰呪文をあやつる司祭であるため、マナンの意志に直接訴えができるのだ。
以前は船が無事目的地に着いたら十分の一税を支払えばよかったが、女総主教の辣腕により、現在では前払いになっている。
海兵騎士団
マリエンブルグに拠点を置く聖堂海兵団であり、大聖堂をはじめとした港湾都市と行き交う船舶の防護にあたっている。
彼らは騎士団長を代表として、女総主教の指揮下にある。
海兵騎士団はかなりの数の軍船を有しており、高度な訓練も実施しているため、近隣海域の海賊たちから恐れられている。こうした有能な海兵騎士たちは他の商船などの船団に金で雇われることもあ、船に乗り込むか、船を出して護衛するかは規模と金額による。
マナンの子孫会
マナンの子孫会はオストランドのザルカルテンを本拠とし、碧青色と白の鎧を身に付け、カトラス、スピア、バックラーなど海で生きている者に相応しいで武装をしている。
マナンの子孫会は船舶を海賊などの襲撃者から守るとともに、ストロムフェルズの信奉者や難破船荒らしを狩る。
ストームガード
ノードランド北岸に人目を忍んで本拠を置いている。
ストームガードはストロムフェルズの信奉者を探り出し、教団を根こそぎ潰すことに専心した者達である。
フードのついた群青色と灰色のマントに白と銀色の糸で波を表した刺繍を施している。
かれらはトライデントとスピアの使い手であり、任務の際にはマナンの子孫会に協力を求める。
教団技能と教団異能
マナン教に属する者は、以下の技能と異能を追加してよい。
(そのキャリアに就いた時点か、修道会に参加した時点か、どちらか早い方で決める)
入信者
修道会不問:〈水泳〉
司祭
修道会不問:〈航海術〉〈職能:造船工〉〈舟こぎ〉
信天翁修道会:〈学術知識:天文学〉〈方角案内〉《方向感知》
海兵騎士団:〈水泳〉
マナンの子孫会:〈水泳〉
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