カイン:Khaine

エンパイアにおいて“殺人の王”は興味深い存在である。
オールド・ワールドで信仰されている様々な神による万神殿の一柱であり、正当な神あると認められているものの、カイン信仰はやはり違法であり、それには充分な理由がある。
法治国家において、“血濡れの手を持つ神”が求める儀式を行なえる場所はない。
それゆえ、カインは避けられて、その信者は焼き殺され、少数しかない神殿が、卑劣な大義を支持する者を阻止するために焼かれるのだ。
禁教にも関わらず、オールド・ワールドに多くのカイン信者がいる。
大規模な共同体では全域にわたって各種の秘密教団が暗躍しており、暗がりや人目に触れない環境で集会をひらいてはおそましい主を讀えたり、祝福を授かろうとして暗殺計画を練ったりする。
これらの邪教徒は魔狩人に火あぶりにされる危険性を恐れないが、公に活動することは稀であり、闇の活動に甘んじている。
彼らに対抗する者は、ベッドの上で暗殺されがちである。
配偶者が邪魔されずに寝続けている間に、喉を一搔きされたり、たぶん絞め殺されたり、臓器を抜き取られたりするのだ。
かように弾圧された教団であるためか、カイン教団には正式の階級制度がない。
エンパイアじゅうに孤立した小集団として点在している。
全員は殺人に対する同じ愛情を共有しているにも関わらず、教義の言葉や目的、もっとも熱心に論議されることさえ、各集団には大きな違いがある。
宗教的儀式に参加する際、邪教徒はたびたび赤色の飾りが入った黒いローブで着飾る。
これらは、兄弟のモールに関連付けて“殺人の王”を、また上手く実行された殺人の流血を
象徴したものである。

戒律
• すべての死は神聖であるが、カインにとっては殺人によるものだけが神聖である。
• 殺人とは祈りである――焦らずじっくりと行なわねばならない。
• 殺人は、それ自体が褒賞である。
• 殺人の機会を逃すことなかれ。かような瞬間は、カインの与え賜うた祝福なれば。
• 他人の手を借りる殺人はすばらしい。しかし、みずから手を下す殺人はもっとすばらしい。
• たとえ死すとも、教団を裏切ることなかれ。
• たとえ汝の痕跡を残すものであれ、カインの御技を隠すことなかれ。

シンボル
決してあからさまに誇示されることはないものの、カインのシンボルは蠍と曲がりくねったダガーである。
信心深い信者は蠍の針の入れ墨を、他の信者が左目の下にしているのに対して、親指と人
差し指の間の肌にしているかもしれない。
高位の邪教徒は、背中や前腕、腰にも、大きな入れ墨をいれているかもしれない。
すべての邪教徒は、波打つ刃が特徴的な特殊なダガーを持っており、可能なら蠍の図柄を装飾品や宝石類、そして衣服にさえも組み込む。

信仰されている地域
カインの邪教徒は、その信仰は禁じられており死でもって罰せられるのにも関わらず、エンパイアじゅうで見ることができる。
信者は、他の者よりもより悪行と苦痛の環境に引き寄せられやすく、彼らの活動はすべてそこでより行ないやすくなる。
だが、道徳心が高くてオールド・ワールドの正規の神々が厚く敬われている場所では、彼らの狩りは全くもって安全ではない。
カインはほとんどすべての人間の神々に排他的で(しかし、エンパイアで崇められているカイ
ンと、エルフやダーク・エルフ間で信仰されているカインを混同するべきでない)、その信仰は大都市か町に圧倒的に限定される――邪教団は人間の連絡役とうまく付き合い、犠牲者の信頼できる情報を持っていないと知ると連絡役を素早くバラバラにしてしまう。
エンパイア東部には、昔から常に殺害の邪教団が存在した。
ことわざに言うとおりに、昼なお暗い森林は腹黒い精神をはぐくむのだ。
エンパイア東部の共同体は閉鎖的で、しかもよそ者に対して猜疑心と不寛容に凝り固まっていることから、地域に根ざした邪教団は容易に略奪をして、さほど注意を引かずに済んだ。
エンパイア東部では死者が安らかに眠らず、超常の恐怖が数多くあるわけだが、不可解な殺人の罪をすべてアンデッドに押しつけることはできない。

性格
カインの邪教団は秘密主義であり、邪教徒と判断されることに対して可能な限りすベての予防策を講じる。
しかし、やがて彼らの犯行が、その存在をすべての明らかにしてしまう。
可能な時はいつでも――少なくとも月に一回は、犠牲者が街の通りか田舎道から誘拐されて、儀式の生贄にされる。
この悪行は、犠牲者の身体に聖印を彫る前に、喉を切ることで実行される。
犠牲者は、それから水域か溝、自宅に投げ込まれる。
無論、これには様々な流儀があるが、必ず行なわなければならないことは常に変わらない。
すぐにはいなくなったことに気がつかれないだろう者や、目撃者なしで誘拐可能な者のみが、拉致される。
悪天候や死体漁りが証拠を壊さなかったとすると、死体が発見されてから、博識な捜査官は邪教団のお家芸だと簡単に判るだろう……彼にできることはそれがすべてである。
そのやり口と動機については、捜索中の巡視に明らかになるが、犯行の真の解明については、証拠はほとんど残されていない。
この邪教団の犠牲者のすべてが儀式的に殺害されているわけではないのだが、邪教団は殺人の機会を逃してはならないと説いているため、評判の悪い裏道や夜のひとり道で殺人が実行される。
この邪教団の司祭の数人が指導者の役割をしているが、度を越して本当に場当たり的な組織である。
ほとんどの邪教徒が平信徒であり、唯一要求されることは“血塗られた手”をしているかということである。
殺人を犯すことをためらった邪教徒候補は、結局次の犠牲者になることを避けることができない。

カエラ=メシャ=カイン:Khaela Mensha Khaine
多くの者がカインは単なる“血の神”の一側面にすぎないと片付けているだろうが、“殺人の王”はそのような病的な想像などよりもはるかに興味深い起源を持っている。
実際は、カインはウルサーンのハイ•エルフ経由でオールド・ワールドに来たのである。
カインに関する人間の儀式は、粗野で野蛮であり、色々な意味でこの神が司る複雑な醜悪さである。
エルフにとってカインは、確かに殺人の神だが、戦の神でもある。
それは、スラーネッシュと戦い、混沌の軍勢をアナリオンが追い返すのを助けており、エルフの謎めいた循環と文化において重要な役目を果たしている。
確かにハイ・エルフの兵士は戦争に赴く 前に、 剣と槍を導きたまえと“血濡れの手を持つ神”に嘆願の言葉を囁くのである。
しかし、カインに従う野蛮な人間と、はるか彼方のナーガロスのダーク・エルフの忌まわしき者たちには類似点がある。
追放されたエルフたちは、自分たちが選んだ神がオールド・ワールドで野蛮かつ不格好な方法で崇められていることに、確かに眉をひそめるが、彼ら独自のものは、たんに完璧に殺人をするという同じ行為なのである。
彼らの儀式はとりわけ血なまぐさく、生きている者を生贊にすることも含まれる。
ダーク・エルフにとって殺人と苦痛、死は讚えられる美徳であり、彼らの社会が生みだすものの基礎になる考えであり、芸術的様式と生き方を全きものにするのである。

 

 

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コメント

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