グンドレッド:Gunndred

グンドレッドは家畜泥棒と恐喝の神である。
力ずくと脅迫によって欲しい物を奪い取り、震え上がった犠牲者を残して去る者の味方である。
グンドレッドの邪教団の勢力は現状では一部地域に留まっているが、拡大しつつある兆候も見られる。
グンドレッドは、旅装に身をつつんだ大柄で粗暴な男に描かれるのが常である。
しかし、上等な衣服と宝石で着飾った極度の肥満体の男が、五、六名かそれ以上の大柄なゴロツキを引き連れている姿を描く信者もいる。
幸運と盗みの技に専念するラナルドとは異なり、グンドレッドは暴力と威圧を重要視する。
ラナルドの信者なら、こっそり館に忍び込んで、誰ひとり目覚めることのないままに有り金すべてを盗んでいくだろう。
一方グンドレッドの信者たちは徒党を組んで押し入るや、全員をたたき起こしてひどく痛めつけ、有り金すべてを強奪すると、6ヶ月後にまた有り金を残らず奪いに来る、今日のことを
誰かに話したら、ゆっくり痛めつけて殺してやるそと脅すのである。
グンドレッドは、犠牲者がこの最後の脅しに屈することを望みはしない。
信者たちにしても、泣く子も黙るような評判を立てたいと思っているため、やはり屈しないことを望むものだ。
たいていの信者は次にその家にやって来たとき、家族をひとりだけ殺害する。
その標的には、生活費を稼げない者が選ばれるのが常である。

信仰されている地域
グンドレッドを崇める最大の教団はボーダー・プリンスを本拠とする。
グンドレッドはエンパイアでも、とりわけ南部のより暴力的な恐喝屋集団に信仰されており、ヴォルト高地にほど近いティリア北部でもスコンデュイノという名で人気を集めている。
ティリア人の信者は、“名誉”を汚されることに激しい抗争や血の復讐で応える。
他国の信者は暴力に理由は必要ないと主張しており、ティリア人を見下している。
とはいえ両者とも、同一の神に仕えていることは認めている。

シンボル
グンドレッドの主なシンボルは投げ縄であり、それは同時に絞首刑の輪のようにも見える。
また、棍棒やメリケンサックがシンボルに用いられることもある。

教団技能と教団異能
入信者:〈威圧〉
司祭:〈動物の世話〉、〈拷問〉、《威圧感》

戒律
・人から愛されてはならぬ。
・他者から奪い取ったもので生きよ。
・犠牲者には必ず印をつけよ。
・生存者を残すことで、汝の名を恐怖とともに広めさせよ。

グンドレッドの邪教団

過去、グンドレッドを信仰する大規模な教団はほとんど存在しなかった。
教団員という教団員が悪評を集めることを名誉だと信じて疑わぬ者ばかりであったために、たいていの教団は勢力を拡大するまでもなく公権力の手で潰されたのだ。
なかには、公権力の目を引くよりも前に、利害の衝突から他の犯罪組織に潰された教団も
あった。
しかし近年、ボーダー・プリンスを拠点とする信仰集団が、かなりの規模にまで育ってきた。
その地には中央権力が存在しないために活動に妨げが少なく、元々グンドレッド信者が多いという事情もあった。
しかしながら、内紛が絶えないことと、脅迫の対象になる富裕層がいないことから、従来は小規模な集団が乱立するばかりだった。
そうした状況を、前述の新たな集団は家畜泥棒――牛泥棒に専念することで――一変させた。
数十頭もの牛を生きたままこっそりと手際よく盗み出すなど、どだい無理な話で、要はいかに牛飼いを脅すかであり、ゆえにそれは昔からグンドレッドの十八番だったのだ。
牛泥棒に活動を絞り込んだことで、前述の教団はボーダー・プリンスで勢力を伸ばし、悪評が広まったことによって、グンドレッドとはそもそも家畜泥棒の神なのだとエンパイア人の多くが思い込むまでになった。

活動
この邪教団の連中は、独特のやり方で牛泥棒を実行する。
まず全員が鮮やかな赤色の外套をまとって、牛の頭蓋骨と投げ縄の絵が(下手くそに)描かれた盾を携行する。
そして略奪集団の頭が戦旗を掲げ持つわけだが、その戦旗とは長い竿の上端に牛の頭蓋骨をかぶせ、中途につけた横棒から投げ縄を吊るしたものとなっている。
護衛がいたなら、牛飼いの目の前で痛めつけて殺す。
そのための常套手段は、護衛を杭で地面に串刺しにし、そこに牛を駆けこませて踏みつぶさせるというものだ。
もしも牛飼いが歯向かってきたなら、手足を切断するか殺害する。
そのよくある方法は、牛飼いの両腕と両脚に縄をきつく結び、それを牛に結びつけるというものだ。
牛がのんびりと歩き回るうちに、犠牲者の四肢が引きちぎられるというわけだ。
その他にも、雄牛をあおり立てて犠牲者を角で突かせるやり方もあり、ごく稀には、そうして内蔵をすっかり抜かれた犠牲者がそのまま死ぬまで放置されることもある。
略奪集団は、早々に逃げだした者は捨て置き、牛を残していく限りは、逃げた者が身につけている貴重品にも手出しはしない。
教団員は凄腕の戦士そろいであるうえに、少なくとも十数人の集団で旅して回るため、たいていは牛飼いは教団の外套と戦旗を目にしただけで慌てて逃げだす。
この教団の一団のふりをして行動する連中に、教団は入会を誘いかける――それを拒否するのは賢明とは言えない。
勢力が拡大するにつれて、この邪教団は恐喝と街道強盗に活動分野を広げたが、少なくとも現時点では、比較的小規模に留まっている。
依然としてボーダー・プリンスを拠点にしているのだが、アヴァーランドに広まり、盗んだ牛の交易を行なっている。

教団機構
この邪教団は略奪集団ごとに分かれて活動し、グンドレッドの司祭でもある頭たちが各集団を統率している。
略奪集団の構成員は、無法者や傭兵といった手荒な連中であることが多いが、若干名の入
信者が混じっていることもある。
邪教団全体の頂点に立つのはギュンスリーブ親分で、全員から恐れられていなければ気がすまないという性質の男だ。
入団希望者は、略奪集団を見つけてその旨申し出るだけでよい。
二、三人の構成員から叩きのめされるが、その時点で仲間に加えてもらえる。
ただし、次の新入りがやってくるまでは、ひどく危険でたちの悪い仕事ばかりをやらされる。集団から逃亡しようとした者は捕まえられて殴り倒され、それから緩慢な処刑のためにギュンスリーブ親分の元へ送られる。
どの略奪集団も、ギュンスリーブ親分の直卒集団を一年に四回訪れていく。
その際、略奪品を二山に分けねばならず、ギュンスリーブ親分が片方の山を手にする。
そのため、たいていの集団はできうる限りに均等に山を分けようとする。
略奪品を隠そうものなら、略奪集団は皆殺しにされる。
ただし、偽装を告白した構成員はたんに殴られるだけで生存を許され、邪教団に留まることができる。
ギュンスリーブ親分自身は牛泥棒だが、略奪集団が充分に獲物を稼ぐかぎりは、それが恐喝や街道強盗に専門化した結果だとしても気にはしない。
充分に略奪品を稼げないことは、ギュンスリーブ親分がその集団から無作為に選んだ構成員ひとりを処刑する理由になりえる。
各略奪集団には、略奪品の分け前を売りさばく販路を独自に見つけだすことが期待されている。
まず牛を売り飛ばし、現金を上納する方法もギュンスリーブ親分は認めているが、生きたままの略奪品もまた喜んで受け取る。

 

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コメント

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