エンパイア北方

キスレヴ

エンパイアの北にはキスレヴの領土と鉤爪湾が広がっている。
キスレヴは、長年にわたるエンパイアの同盟国で、はるか北方から押しよせる想像を超える怪異からエンパイアを守る防波堤の役割を果たしてきた。

寒冷な気候のなか、荒涼たる国土に似た陰気で壮健な人たちが暮らすこの国は、皇帝(ツァー)や女帝(ツァーリナ)の統治下にある専制国家だ。
エンパイアからほど近いため、旅行者は親近感を覚えるかもしれないが、ライクシュピールとは全く違う言葉やアクセント、奇妙な帽子、じゃがいもを発酵させてつくる透明な酒がおびただしく消費されることなどには、慣れが必要だろう。

プラーグはキスレヴの都市である。
混沌大戦(Great War Against Chaos)の際に陥落し、奪還された後、住民たちは穢れを清めようと、いったん街を崩してから建て直した。
しかしそれでも、暗黒の神々の犠牲になった者たちの霊魂は街を造る石材に宿ったままで、夜になると、どうかこの拷問のような苦しみから救い出してほしいと訴えかけてくると噂される。

鉤爪湾

身を切るほど冷い、荒波のうねる険しい海がエンパイア北岸とノーシャとを分断している。
海賊が横行することでも名高い海である。

しかし、マリエンブルグをはじめとする北岸の港からは、海賊や悪天候などには動じない多数の船が出航しており、ノーシャをはじめ、さらに北方へと旅するにせよ、交易者や旅行者にとってこの海は、大変便利な交通路となっている。

ブレ卜ニア最北の岬の沖に、“竜の歯群島”という複雑な海岸線をもつ岩がちな島々がある。
この群島の荒磯は数えきれぬほどの船を難破させており、そこでは積荷の山が勇敢な連中に回収されるのを待っているのだという。

ノーシャ

オールド・ワールドの他の土地を襲撃していないときのノーシャ人は、毛皮を着た野蛮人と呼ぶにふさわしい輩で、暴虐な不浄神たちと結託し、凍りついたツンドラと山地ばかりの国土の開拓を進めている。

もしもノーシャで人家に助けを求めるのなら、アイス・卜ロールと一緒に寝るのと比べてどちらが安全かをよくよく考えてからにするがいいと、旅行者は重ねて注意される。

ノーシャ人の戦士たちは、武力に対してある種の敬意を抱くことで知られているが、極めつけに強健な冒険者でもない限りは、武力で彼らを助けようなどとは考えないことだ。

ノーシャの内陸の奥深くに、“剣の森”がある。
樹木よりもむしろ氷でできたこの森で、足音を忍ばせるのを怠った不注意な旅行者は、恐るべき水柱のシャワーを浴びることになる。
噂では、この森の中心部には太古のエルフの神殿があるらしく、かつてノーシャが緑豊かで温暖な土地だったころに放棄されたものなのだと言われている。

混沌の荒野

キスレヴや鉤爪湾、ノーシャを越えてさらに北へ向かうと、状況は目に見えて悪化し、呪われた北方の荒れ野へと足を踏み入れることとなり旅行者は、しばしば汚れた死に直面する。

酷寒のツンドラがどこまでも広がる風景には、鋭い峰々や枯死した木々が点在するばかりだ。
ここでは悪夢のクリーチャーが何の妨げもなく徘徊し、略奪者たち野蛮な部族は、暗黒の神々の御意にかなうべく、果てしなく戦い続ける。
北方が混沌に属するという事実は、北へ北へと向かうにつれて重みを増していき、ついには、現実世界そのものが朽ちてばらばらになり、狂気と絶望のみが後に残るのだとされる。

混沌の荒れ野でもかなり北方にあたるクルガン人の領域に、失われたドワーフ要塞都市カラク=ドゥムがある。
数世紀前に失われたこの要塞都市は、いまだにドワーフにとっては重要なものだが、どうしてそれほどの北方に要塞都市が築かれたのかは、当のドワーフたちにも疑問なのだ。

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