WH第8弾オリジナルシナリオ
「博士と助手」
【ＧＭ】
さてと、船の修理でしばらく足止めを喰らうことになりました。
人足たちは船の修理に取り掛かっていますが、皆さんどうしますか？
【ウルフガング】
じゃ、ちょっくら修理でも手伝って少しでも早く出発できるようにしようか。
【アデルベルト】
そうだな。
バカハーフリングに体当たりされた箇所だけではなく、その他にも知らない間に傷が入っていたりもするからな。
【ピョートル】
では、エリーズはこの時間を利用して、女スパイよろしくファットボーイに飯でも持っていって同情したとか、一緒に逃げようとか色仕掛けで攻めて、混沌についてとか、博士についてとか、いろいろ聞きだしてくれ。
【エリーズ】
自分がベルンハルデとなかなかいい仲になれないから人に恋愛フラグ立たせようとしてるズラ・・・
【ピョートル】
ちがう、ちがう。
いいんだよ別に、俺が行っても。
ナンパなヤサ男と太ったハーフリングのBL的展開とか誰が期待する？
やっぱRP的にだね、異性の方がリプレイ読んでる人とかも楽しいじゃない。
【エリーズ】
なんか、納得いかないけど分かったズラ。
とにかく、いろいろ情報を引っ張り出せばいいズラね。
【一同】
行ってらっしゃーい。
【ＧＭ】
では、エリーズさんはファットボーイが監禁されている船倉に近づくと、彼のすすり泣く声が聞こえる。
彼は船倉の隅でロープです巻きにされたまま、涙と鼻水を垂れ流しながら、すすり泣いている。
【エリーズ】
どうしたズラ？
ご飯を持ってきたから泣き止むズラ。
【ファットボーイ】
ううう・・・。
私は悔しいのです。
皆さんに捕まったことではなくて、博士の助手として「素材」を集める任務に失敗したことが。
【エリーズ】
「素材」とは、キャッツ・・・猫目旅団が言っていた「混沌遺物」のことズラか？
【ファットボーイ】
はい、混沌の嵐がアーケイオンの撤退によって収束したのはエリーズさんもご存知でしょう。
その、混沌の嵐が再度訪れるのは時間の問題なのです。
【エリーズ】
混沌の嵐は私も被害者ズラ。
あんな出来事がまた起こるというズラか？
【ファットボーイ】
はい、先の混沌の嵐収束は幸運と偶然が重なって起きたいわば、混沌側のハプニングだっただけです。
そして、現在のエンパイアは「混沌遺物」を処分したり、目先の小さな勢力を駆逐したりと、混沌の次の侵攻を引き延ばす対策ばかりで、実際に混沌の嵐が再度起こったときの具体策が無い状況なのです。
【エリーズ】
じゃ、次の侵攻が起こったら今度こそ最後ズラか？
【ファットボーイ】
・・・・おそらくは。
しかし、偉大な発明家にして著名な大天才キューゲルシュライバー博士はエンパイアのバカ貴族共とは違う！
ちゃんと、次の混沌の嵐が起こったときのことを考えていらっしゃる！
【エリーズ】
一体、どんな秘策を考えているズラ？
【ファットボーイ】
ふふふ。
すでにお解かりのように我々はスラーネッシュの一派に手を貸しているように見えますが、心までは奪われておりません。
それは、博士も同様にです。
スラーネッシュの一派「秘密結社・赤薔薇の毒団」の資金力に着目し、混沌の研究をしているフリをしつつ、来るべき襲来に備えているのです。
自らの資金を必要とせず、混沌の情報を最前線で入手でき、しかるべき時には混沌の力をも正義のために変換する・・・このすばらしい計画の為に博士と私は混沌の誘惑に毎日怯えながら、打ち勝ってきたのです。
しかし、私が不甲斐ないばかりに素材の回収に失敗し、冒険者風情に捕まるハメになろうとは・・・今頃は・・・博士独りで戦っておられると思うと・・・自然に泣けてきたのです。
で、そろそろ「おにぎり」を食べたいのですが・・・。
【ＧＭ】
では、エリーズさん。
〈常識：エンパイア〉でテストしましょう。
【エリーズ】
はい。・・・成功ズラ。
【ＧＭ】
エリーズさんは、ハーフリングとドワーフには《混沌耐性》という異能を生まれつき持っていて、魔法や混沌の効果に対する【志】テストにプラス修正が付くことと、彼らは混沌変異の影響を受けないということ。
しかし、彼らはいかなる魔法を使うことが出来ない。というスゴイ異能の存在を思い出します。
ただし、ケイオスドワーフなどの例外もこの世には存在しますが・・・
【エリーズ】
ということは、心まで奪われていないというのは、あながちウソではないという事ズラね。
ただ、博士は人間だから油断は出来ないズラ。
で、博士は一体どこにいるズラ？
【ファットボーイ】
博士は、アイルハルトの街を拠点に活動しています。
生ハムメロン通りの酢豚パイン邸です。
あれだけの偉大な発明家にして著名な大天才では、隠してもすぐに居場所は割れてしまうので、正直に話しましたよ。
だから、その「オニギリ」を・・・。
【エリーズ】
そうズラか。
情報ありがとうズラ。
ファットボーイの博士に対する健気さには同情するズラ。
オニギリは食べさせてあげるけど、縄を解くことは出来ないズラ。
ごめん・・・。
・・・続く。
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