ビーストマン

ビーストマン

ボヴィゴール カプリゴール トゥルーゴール
ベスティゴール ビーストマンの獣将 センティゴール
ミノタウロス ドゥームブル ブレイシャーマン
ゲイヴ アンゴール ブレイ
タスクゴール ケイオス・ウォーハウンド  

主の烙印

コーンゴール ペスティゴール
スランゴール ツァーンゴール

ビーストマンの起源

アーミーブックより
アンディ・ホーア 執筆
フィル・ケリー 執筆

獣人の名でも知られる野蛮な種族、ビーストマン。
己の身に刻まれた混沌の証を、変異の祝福として享受する者たち。
ビーストマンは、人間の知性と野獣の本能を兼ね備えているが、同情や慈悲や気高さといった人間らしい美徳は微塵も持ち合わせてはいない。
ビーストマンという種族がこの世に誕生したその時から、彼らの肉体と魂は、すべて〈禍つ神々〉に捧げられているのだ。

オールドワールドには、混沌の影響を受けた歪んだ森が、いくつも隠されている。
獣人、すなわちビーストマンは、こういった森の深奥くに、野蛮な寝床を作っているのだ。
ビーストマンは自然が生み出した種族ではない。
むしろビーストマンは、自然や健全といった言葉や概念とは、ほど遠い存在である。
ビーストマンは、混沌によって生み出された、歪みの産物なのだ。
彼らは野蛮で下劣な存在であり、人間と獣の特徴を兼ね備えた醜悪な姿を持つが、人間よりも遥かに獰猛で力強い。
ビーストマンは、自分たちを「蹄持つ者」と呼ぶ。
彼らは、完全に混沌に属する種族だ。
それは、鮫が海を泳ぐ魚に属しているのと同じように、動かしがたい事実である。
ビーストマンは、世界を取り返しがつかないほどまでに穢した、かの大変異によって造り出された種族なのだから……。

今から数千年前。
史上初めて、混沌が世界を襲った。
混沌の襲来により、世界は不条理の波にさらされ、自然の摂理は大きく歪められてしまったのだ。
そしてこの時、ビーストマンという種族も、その邪悪な産声をあげたのである。
伝説によると、混沌の襲来以前に世界を支配していたのは、「旧き者」の名で知られる太古の種族であった。
彼らは、世界を意のままに作り変える力さえも備えており、世界に誕生した若き種族たちを導き、育んだ。
また、「旧き者」らは、世界の北極上空に浮かぶ「大門」 を使うことで星々の間を自由に行き来できたという。
しかし、たったひとつの災厄が、この世界の歴史を一日で塗り変えてしまった。
世界を繋ぐ「大門」が、ある日突然崩壊してしまったのだ。
「大門」がなぜ崩壊したのか、その記録は何一つ残されていない。
明らかなのは、「大門」の崩壊をきっかけとして、沌沌が時空の帳を超え、この世界に流れこんできたということだけである。

「大門」の崩壊は、想像を絶するほどの大惨事にこの世界にもたらした。
何百万もの無辜なる者たちが、瞬時にその魂を奪われ、虚空へと吸いこまれてしまったのだ。
そして彼らの代わりに、禍々しき者たちが、この世界を闊歩するようになったのである。
大地は、傷を負った獣のように、血を流し、悶え苦しんでいた。
空からは、変異をもたらす不吉な石が、脈打つ彗星となって降り、暗い炎の跡を空に残し
ながら、人跡未踏の森へと落ちていった。
あたかも神の鉄槌が振り下ろされたかのように、大地は激しく叩きのめされてゆく。
ついには、混沌の魔力が結晶となった巨大な塊が、崩壊を続ける「大門」から降り注ぎ、空が燃えあがった。
これらの結晶は、隕石のように地表に衝突すると、森を広範囲にわたって破壊し、焦土へと変え、地中深くへとめりこみ、巨大な隕石孔を傷痕のごとく刻んでいったのだ。

隕石が衝突するたびに、大地は混沌の生なる魔力に冒された。
肥沃な土地が穢されると、古き木々の根から穢れが吸い上げられ、大気へと滲み出し、その空気を遊牧民や獣たちが吸うことによって、秘かに、しかし確実に、混沌の穢れが広まっていったのだ。
沌沌の穢れが染み渡るにつれ、森そのものが呼び覚まされ、有害な魔力に曝されて身悶えするように苦しんだという。
一部の森は急激かつ奇怪な成長をとげ、得体の知れぬ叫び声が、木々の間にこだました。実り豊かな大地という大釜の中で、変異の魔力に曝された動植物は、想像を絶するおぞましき変容をとげてゆく。
穢れた地の周囲に生きる原始人たちと、森に住まう獣たちが、何らかの形で交わり、恐るべき子らが産まれた。
さらにそれらの子らが交わり、新たな子らが産み落とされた。
以降、こうしたことが延々と続き、見境なく子を産んでは死ぬという過程をくり返しながら、ビーストマンという種族が形作られていったのである。

長き戦争

何千年もの間、ビーストマンとその眷属らは、穢れた森を支配した。
そして狼が羊を殺めるかのごとく、辺りに点在する人間の小部族を襲っては、餌食にしてきたのだ。
だがある時、すべての敵に死を与えるという黄金の戦鎚を携えた人間の英雄が、オールドワールドに現れた。
彼は、人間の諸部族を統一し、ビーストマンらに戦いを挑んだのである。
この戦士こそは、野蛮でまとまりのない人間の諸部族を団結させ、今日まで存続する偉大な帝国を築き上げたとされる、初代皇帝その人であった。
戦鎚戦争の幕開けである。

ビーストマンらの間で、この人間の戦士が現れる以前の時代は、おぼろげな夢のようにしか記臆されておらず、ただ伝説として語り継がれるのみだ。
ビーストマンの儀式の中では、自分たちがオールドワールドを支配していた遠い昔の時代や、それを再び人間たちから奪い返す日のことが、しばしば語られる。
人間どもの手によって不当にも大地の支紀権を奪われ、彼らの心は人間に対する憎悪で満たされた。
「蹄持つ者」にとって戦鎚戦争の幕開けは、敵意と闘争の時代の幕開けでもあったのだ。
今日のビーストマンは、何世紀にも渡る長く過酷な戦争のせいで、人間を徹底的に嫌悪している。

現在のビーストマンの望みとは、人間が彼らの獲物に過ぎなかった原始の時代……すなわち、ビーストマンがこの地を支配していた時代へと戻すことに他ならないのである。

一方、人間たちの間で、ビーストマンは恐ろしい架空の生き物へと変わっていった。
ビーストマンは「オールドワールドの森の奥深くには、何か得体の知れない、恐ろしい化け物が潜んでいるのではないか」という、迷信めいた恐怖の象徴といえる存在へと変わったのだ。

ブレトニアに残る伝説によると「ビーストマンは、森の中から人を見張っている。人を見張ることによって、ビーストマンは自らの下劣さを思い知るのだ」とされる。
一方で、エンパイアの学者たちは「ビーストマンは、人間の聡明さや、器用できれいな手足に対して憤慨し、嫉妬心を燃やしている」と考えているようだ。
視点は微妙に異なっているが、確かにビーストマンは、人間に対して辛辣な悪意を抱いている。
この敵意や憎しみは、単なる嫉妬心という言葉では片付けられないほど強烈なものだ。
ビーストマンが抱く憎しみの対象は、人間そのものに限らない。
人間の文明や建造物、そして人間が信仰する神々に至るまで、人間に関わるものすべてを憎んでいるのだ。

人間の文明がさらに発展し、急速に進歩するに従って、ビーストマンは人間をさらに強く侮蔑していった。
エンパイアやブレトニアを代表とする、オールドワールドにある様々な人間の国家にとってビーストマンは、野蛮な時代から残る、悪夢のごとき怪物へと変わっていったのだ。

人間は数々の思い違いをしてきた……ビーストマンの脅威など、過ぎ去った遠い昔のことだと……頑丈な市壁に囲まれた街に暮らせば、安全は保証されていると……鋼の武器と大砲、バトルウィザードの魔力、技術者たちの発明品があれば、森に潜む下劣な獣ごときは、街に近づくことすらできまいと……そして、森に住まう怪物どもは、まったく統制が取れておらず、人間のように軍隊を作り、銃眼を持つ市壁に囲まれた街に攻めこんでくるなど、絶対にありえぬ……と。

このような考えは、どれも大きな間違いである。
ビーストマンの力を見くびれば、恐るべき破滅へとつながるだろう。
「蹄持つ者ら」は、凶暴性と争いに突き動かされる怪物であり、エンパイアの臣民らが思いこ
んでいるよりもかに、狡知に長けているのだ。
さらに悪いことに、ビーストマンらは、敵が尊大で高貴な者たちであればあるほど、その敵を上から引きずり降ろし、地に這いつくばらせて、血に汚れた蹄で踏みしだき、自らの力を証明したいという衝動を強めるのである。

ビーストマンは、年月を記録する正式な文化を持たない。
しかし彼らは、自分たちの暮らす古き森と比べて、人間の都市はかなり新しいものであることを、本能的に熟知しているのだ。
ビーストマンは皆……卑しきアンゴールでさえも……人間たちが森と森の生き物に対して強い恐れを抱いていることを、よく知っている。
そして、人間たちが森を恐れるあまり,その奥深くへ足を踏み入れることを、愚行として避けてきたことも知っているのだ。
しかし今、ビーストマンらの地は、人間の文明によって脅かされ始めている。
混沌の攻勢に対抗すべく、人間たちが次々と砦を築き始めたからだ。
さらに、人間の国力が増し、産業が発達するにつれ、彼らはビーストマンの縄張り内にさえ、見張り塔や城塞を築き始めている。

だが、人間どものいきがりは一時的なものだと、ビーストマンらは確信している。
人間どもの建物すべてが、いつの日かビーストマンの手で破壊され、一つ残らず焼き落とされると確信しているのだ。
ビーストマンが人間の国家を破滅に追いこんだその日……人間どもの地は、「蹄持つ者ら」の手に戻る。
そして人間どもは、本来あるべき身分……すなわち、ビーストマンの餌食へとおとしめられるのだ。

ビーストマンの種類

ビーストマンは、混沌の襲来によって生まれた種族であり、獣と人のハイブリッドという姿ではあるが、その割合や獣の種類は千差万別で、一言でビーストマンと言っても固体差が大き過ぎて詳細は表しきれない。
そこで、大まかなカテゴリーに分けてビーストマンの種類を紹介していく。

ビーストマンは、「いくさ群れ」と呼ばれる集団で群れて生活している。
いくさ群れを率いるチャンピオンの下、首脳部、戦士、援軍、従卒などで構成される。
そのいくさ群れを構成するビーストマンは、ゴール、アンゴール、ブレイ、センティゴール、ブレイ・シャーマン、ケイヴ、ミノタウロス、ドゥームブル、タスク・ゴール、ケイオス・ウォーハウンド など多岐にわたる。

中でも、ゴールはボヴィゴール、カプリゴール、トゥルーゴール、ベスティゴール、ビーストマン・チャンピオンに分類され、さらにベスティゴールやビーストマン・チャンピオンは禍つ神の印である「主の烙印」を持つ者もおり、コーンゴール、ペスティゴール、スランゴール、ツァーンゴールに分かれ、烙印に見合った主の特徴を反映する肉体の変化を得る。

最も一般的なビース卜マンがゴールである。
大柄で力に優り、数も多いことから、どの“いくさ群れ”でも中核をなしている。
彼らの外見は非常に多様性に飛んでいるが、動物と人間の要素が混じっている点では共通している。
ゴールと下級ビーストマンを隔てるものは、双角(左右の角)である。
双角は地位と権力の象徴であり、群れの頭目はいちばん大きくて見事な角の持ち主と相場が決まっている。
その角に血や糞や染料を塗りつけることによって、敵を萎縮させようと試みるのだ。
ゴールはそれだけでひとつの種をなすと見なされているが、彼らも混沌のクリーチャーであり、幅広い混沌変異に見舞われやすい存在である。
ゴールの中には、頭部が昆虫や、ことによると馬のものになっていて、手足が何本も余分についていたり、鞭状の尻尾が生えていたりといった、ありとあらゆる奇怪な組み合わせの変異をもつものもある。

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